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[第35頁] あなたの会社でも使える「貧乏人の経済学」

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先日、授賞式が行われた2019年のノーベル経済学賞がビジネス界で注目されている。受賞したのはマサチューセッツ工科大学(MIT)のエステール・デュフロ、アビジット・バナジー、ハーバード大のマイケル・クレマーの3氏。MITの2人はご夫妻で、共著「貧乏人の経済学-もういちど貧困問題を根っこから考える」(みすず書房、英題Poor Economics)を出版している。研究のキーワードは二つ、現場主義と実証実験だ。開発途上国援助の「複雑な課題」を現場で「対応可能な小さい課題」まで落とし込み実証実験で検証し、多くの課題を解決に導いた。

こんな例がある。途上国では学校に行かない、行けない子どもたちが多く、児童生徒の出席率を上げるためさまざまな援助が行われている。ここで問題。次に挙げる支援策のうち費用対効果の面からも政策として選ばれたものはどれだろうか。(1)教科書・文房具の無償配布、(2)学校給食の実施、(3)学校や教員の増加、(4)教員の給与待遇改善、(5)子どもたちへの寄生虫駆虫剤配布。

答えは5。世界保健機関(WHO)は、寄生虫がいると児童生徒が栄養失調や貧血などになりマラリヤなどの病気にもかかりやすくなり、授業に集中できず、学校を休みがちになるという調査結果を公表していた。でも寄生虫対策がほかの支援に比べ本当に効果的なのかどうか?受賞者らはケニアの小学校で「ランダム化比較実験」をした。

この実験、新薬開発などで使われている。新薬を与えるグループ(トリートメント)と偽薬のグループ(コントロール)に無作為に分け、効果を客観的に評価する。ケニアのある地域の小学校75校のうち25校の子どもたちに駆虫剤を与え、残り50校は何もしないコントロール群とした。トリートメント群では3割の生徒で腸内寄生虫の駆除が確認され、病気で学校を欠席する回数が減り、体格の向上も見られた。しかも費用は1人当たり300円だった。

この実験結果が「途上国では学校で駆虫剤を配布することが就学率向上につながる」という政策提言になった。駆虫剤援助はインド、ナイジェリア、パキスタン、ベトナムなどにも広がり、今では毎年約600万人の子どもたちが恩恵を受けている。

あなたの会社にある課題を現場レベルで小さい課題に解きほぐして対策を考え、比較実験をして効果を確かめる。ビジネスでも使える手法ではないだろうか。

(K.Jobs)

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